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第69回 卒業証書授与式(高校)が執り行われました
2021-03-08
カテゴリ:高等学校
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3月1日(月)高校3年生239名が学び舎を卒業しました。

卒業生の皆さん、保護者の皆様、ご卒業おめでとうございます。

残念ながら新型コロナウィルスの影響で、在校生が出席しない卒業式となりました。

また、最後のホームルームも卒業生と担任・副担任のみでの実施となりました。

保護者の皆様におかれましては、ご理解とご協力ありがとうございました。

卒業生の皆さん、保護者の皆様の今後のさらなるご活躍をお祈り申し上げます。

卒業生代表 感謝の言葉

肌を刺すような冷たい空気が和らぎ、吹く風にも春の訪れを感じるようになりました。

新型コロナウィルスの影響で、私たちの記念すべき卒業式が、このような形での実施となりましたが、この卒業式を実施できることの裏には、校長先生をはじめ、諸先生方、そして関係者の皆様の多大な支えがあったことと思います。心から感謝申し上げます。

今年は、例年とは違い、オンラインでも卒業式の模様が配信されています。

穏やかな春の陽の中、ご来校いただいた保護者の皆様だけではなく、画面先で見ていただいている保護者の皆様、そして、在校生の皆さん、多くの方々に見守られながら、私たち卒業生、239名は、本日、この長崎南山を旅立ちます。

 

私は、中学・高校の6年間、この南山で過ごしてきました。

他の学校では経験することができない男子だけの学校生活。

初めは、うまくやっていけるかどうか、という不安と、男子しかいない違和感を覚える毎日でしたが、今では本当に居心地の良い場所として誇りに思います。

私のように南山中学から進学した人もいれば、公立高校に落ちて仕方なく南山を選んで来た人、部活に専念するため自ら南山を志願した人など、長崎南山高校に入学した境遇は、皆様々です。だからこそ、方向性の違いから、意見が衝突することも多々ありましたが、今こうして共に卒業の日を迎えることができたのは、「主体性」という学年テーマを胸に、充実した高校生活を送ることができたからです。

特に、私が「主体性」を実感した行事は、昨年度の文化祭です。

これまで、南山の行事といえば体育祭でした。

しかし、私たちの代が中心となり、全校生徒が関わる文化祭を作ることをテーマに、各クラスで出し物を催しました。

生徒会、文化祭実行委員会、各クラスの学級委員長を中心として、一人ひとりが考えて行動し、来校してくださった方々にどのように楽しんでもらうかを懸命に考えました。

私が在席していた7組では、最初、先生に提案された「英語の発表会」をやることになっていました。

しかし、これで来てもらった人に南山ならではの雰囲気を味わってもらえるのかと疑問に思い、クラスのみんなで話し合い、「お客さんに楽しんでもらうこと」を第一に考えた代案を先生に提案しました。

私たちの思いを先生も汲み取ってくださり、ご来場いただいた方々にも楽しめる参加型のアトラクションの出し物となりました。

この時、一人ひとりが主体的に動き、相手の気持ちを考えて行動したことは、私たちが主体性を日々、意識したことが表された瞬間だったと思います。

そして、私たちの案は当日、盛り上がらず失敗する可能性があったにも関わらず、私たちを信頼し、認めてくださった菅先生には、本当に感謝しています。

私たちが成長する上で、とても大切なことを学ばせてもらいました。

その後、みんなと力を合わせて完成した出し物は、どのクラスにも引けを取らないものとなり、来てくださった人たちに南山らしさを十分に味わってもらうことができ、やりがいと達成感を覚えました。

この文化祭を通して、初めから自分たちで考え出し、行動することの大変さと、それゆえの素晴らしい感動を覚えるとともに、仲間と協力し、助け合う中で、私たちは大きく進歩したと実感しました。

 

今年度は、新型コロナウィルスの影響もあり、高総体や甲子園が中止になり、悲しみと悔しさに堪える一年となりました。

まして、全校生徒が集まる行事は悉く中止され、全校終礼さえもできない状況を余儀なくされました。

今一番思うことは、集会がある度に歌っていた校歌を一年生は、覚えることもなく、この一年が過ぎてしまったのだなと、残念に思っています。

時代の変化とともに学校は変わっていきます。

私が入学した6年前と比較しても、今や海外に留学をするようなコースができ、世界に視野を広げた学校となってきました。

しかし、何一つ変わらないのは、「校歌」です。

私たちの学校の「真理を掲げ」「我ら若人」が「広く世界に」「知識を求め」旅立っていくことを「志」とする事実は何も変わりません。

また、私たちもその卒業生の一員となります。

私は卒業後、プレミアリーグでプロのサッカー選手になるために時期を見てドイツに留学をします。

また、級友は、長崎大学や南山大学、その他、それぞれが自分の道を進むことになります。

昨年の卒業生の中には、大学に進学しても構内に入れず、オンライン授業ばかりで、友達を作る機会もないという実態がありました。

また、コロナ禍でアルバイトもできず生活に困窮している人も中にはいます。

そんな世界に私たちは飛び込み、生きていきます。決して受け身の姿勢ではなく、自分で行動を起こさなければなりません。

 

思い返すと南山で過ごした日々は、朝起きるとすでに台所に立っている母の姿から始まりました。

毎日欠かさず作ってくれたお弁当を持って玄関で見送ってくれる母を背に学校へ向かいました。

学校へ着くと、最初に声をかけ、挨拶を交わしてくれるのは、いつも友人でした。

何気なくとも、みんなと過ごしたことが今となってはどれも素晴らしい思い出です。

勉強の時も、部活の時も、共に競い合う仲間がいたからこそ、今、私はここまで成長することができました。

そして、間違いを起こすたびに、決して見捨てることをせず、寄り添い、導いてくれた担任を始めとする先生方には感謝しています。

また、当たり前のように何の不自由なく生きていけるのは、家族のために汗水流し、身を粉にして働いてくれる父のおかげでもあります。

親元を離れると、これらを全て自分の力でやっていかなければなりません。

そこで、これからの未来を生きていく卒業生の皆さんと、オンラインで見ている在校生の皆さんに、私からウォルトディズニーの言葉を紹介したいと思います。

それは「現状維持では、後退するばかりである。」という言葉です。

一見、現状維持と言うのは、プラスでもマイナスでもない状態のことをいいます。

しかし、私たちは限られた時間の中で生きています。

そして、時間は止まる事はありませんし、人や状況はどんどん変化していっています。

その変化を見抜けず足を止めていると、周りの人や状況から取り残されて、気づけば自分は後退していることになるのです。

つまり、マイナスの状態になっているのです。

様々な情報が飛び交う今日では、一人で道を選択して、社会に対応をして生きていかなければなりません。

常に前を向き、自分が正しいと思った道を信じていれば、現状維持になるはずがありません。

私たちは今、コロナ禍により、先が見えない道を歩いていると思います。

自らの意思で道を歩み、常に他者との共同を考えながら、自分の考える正しい道を全力で進んでいくことで、変化に対応できる人間になるだけではなく、世界を変化させる人にまでなれると信じています。

これが、真の「主体性」だと私は考えます。

 

最後になりますが、私たちを支えてくださった全ての方々に感謝の気持ちを述べたいと思います。

ここまで大事に見守ってくださった保護者の皆様、先生方をはじめ、毎日廊下や階段・トイレを嫌な顔ひとつせずに磨いてくださった事務の方々、私たちが安全に学校に通えるように、毎日交通整理をしてくださっていた地域の方、鍵の管理や机の修繕・夜遅くまで待ち続けてくれる用務員さん。

私たちが知らないところで支えてもらっていたことに心から感謝いたします。

私たちの高校生活は、見えない所で支え続けてくださったそんな全ての方々の存在を思いやり、感謝するということを学んできました。

この南山で過ごした日々は私の成長の証です。

 

西経一校長先生を始め、諸先生方のご健勝と長崎南山学園の更なる発展を祈念いたします。

先生方が私たちに常日頃、かけてくださった言葉や哲学を胸に、今、この長崎南山高校を卒業します。

 

令和3年3月1日 長崎南山高等学校

第69回 卒業生代表 中村絢斗

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